2013年05月25日

銃後の守りに思いを馳せて ~ 日本民間用 十七年式防空用防毒面



☆十七年式防空用防毒面


これは、戦時中に空襲に備えて民間向けに製造、支給されていた「十七年式防空用防毒面」です。

多くの家庭で常備されていたらしく、現在でも多数現存しております。

民生品らしく、ミリタリーサープラス業界よりも、古物商や蚤の市などで見かける事のおおい一品です。









☆経年劣化が激しく、保存状態は悪いです


私が所有のものは、友人を介して譲り受けたものですが、状態はだいぶ傷んでおり、全体がヒビ割れている上、ゴムが溶け出しているので下手に触るのもためらわれます。

当然着用は不可能ですし、どのみち合わせる服もありませんが、時代の資料としては充分得るものはあります。

全体に造りは大変簡素で、全国民に行き渡らせるべく生産性を重視したのがよくわかります。







☆厚紙製の筒に収納します


携帯用のバッグ等はなく、ボール紙でできた筒に収納して保管するようです。

長期間、収納したままになっていた為か、着装できるほどの柔軟性は、残念ながら残っていません。







☆フィルター部に商品名が記載されています


本体には「十七年式防空用防毒面」との記載があり、このアイテムが空襲に備えて用意されたものであることが確認できます。

十七年式ということは、おそらく昭和17年制式ということでしょう。

陸海軍の制式名称基準とは異なることからも、民間向けの製品とわかりますね。







☆面体ストラップ金具


装着時に締めるストラップは本体が面体と同じゴム製で、基部は綿布、調整金具は樹脂製です。

非常に簡素な作りであり、新品の状態でも、あまり厳密な気密性は期待できないでしょう。







☆給排気口の蓋(紐付き)


吸気口には蓋が付属しています。この蓋は、現代のプラスチック樹脂と質感はほとんど変わりません。







☆申し訳程度の厚みのフィルター部分


フィルターの性能は不明ですが、見た感じでも、あまり高い性能は期待できない印象です。

火災時に発生する有毒ガスを防ぐのが目的でしょうから、活性炭が詰められていたりするのかな?と思いますが、分解して中身を調べるのはさすがにもったいないですね。







☆民間人にとっての「戦争」を感じさせる一品です


もう少し状態がよければ、資料用に着装状態も記録できたのですが、とても実用出来そうな状態ではありませんでした。

全体に極めて簡素な作りの防毒マスクですが、こんな頼りないアイテムに命を託さざるを得ない現実を生きた日本人が数多くいたのも事実です。

実際に当時の物を手にとって眺めていると、かつての日本に思いを馳せる事しきりです。

以上、ミリタリーコレクションというよりも、郷土資料館の展示物が似合いそうな一品の紹介でした。



  

Posted by らんたろー at 14:07Comments(2)装備:日本軍

2013年05月19日

動画で聴く軍歌 ~ エーリカ(ドイツ軍・戦時歌謡)





動画投稿サイト大手のYoutubeや、ニコニコ動画にはミリタリー系の動画も多数投稿されており、私も毎日のように楽しんでいます。

今回は、「動画で見る軍歌」の中から、最近視聴して好きになった曲を紹介します。

紹介するのは、第二次世界大戦当時のドイツの軍歌「エーリカ」です。

ドイツ軍といえば、映画「バルジ大作戦」で印象深い「パンツァーリート」が思い出されますが、「エーリカ」は、どちらかといえば戦時歌謡と呼ぶべきでしょうか。

各国の軍歌でも定番の、同じメロディーを繰り返す曲調が耳に心地よいです。

歌詞は、戦場で、故郷の女の子の事を思い出す一兵士の気持ちを歌にしたものです。

同種の叙情的な曲は各国軍にも見られ、日本でも「ホームの影で泣いていた、可愛いあの子が忘らりょか♪」のフレーズでお馴染みの「海軍小唄」(いわゆる「ズンドコ節」)等は、この手の曲と言えますね。











☆現地語で軍歌を歌おう 『エーリカ』

こちらは、「現地語で軍歌を歌おうシリーズ」という動画シリーズから。

おそらく戦時中の音源で、当時の戦場の映像と組み合わせて観られる良い動画です。

投稿者自らの手により、ドイツ語字幕と日本語字幕が表示されるので、ドイツ語で歌いたい人への助けとなっております。(パンツァーリートをドイツ語で歌えたら、さぞ格好良いだろうなぁ・・・)











☆エーリカ日本語歌詞付き(ガルパン仕様)完成版(製作T機関)

対してこちらの動画は、日本語訳バージョンで、歌詞の内容がより伝わりやすいので紹介します。

歌は、VOCALOID「初音ミク」が担当。

作者の調律の技量が高く、聞き取りやすい明瞭な発音でとても仕事のできるミクさんに仕上がっています。

「エーリカ」の歌詞は前述のごとく、勇ましい軍歌のイメージではありませんでしたが、日本語訳で聞くと内容のあま~い感じがより顕著に伝わりますね。

曲に合わせた動画パートは、高評価で放送終了した「ガールズ&パンツァー」から。

登場人物の中にエリカという名のキャラがいるんでしたっけ?










動画サイトで軍事や歴史関係の投稿動画を視聴すると、大抵コメント論争が起きていて、図らずも不快な気分になることも少なくありませんが、軍歌・戦時歌謡では(再生数が控えめなこともあり)そういった激しい感情論コメもなく、快適に楽しく視聴できますよ。

おススメです!




  

Posted by らんたろー at 11:51Comments(0)雑文・雑記

2013年05月18日

ソ連時代の代表的迷彩服 ~ KLMK







☆KLMKを着用した1980年代ソ連地上軍兵士


今回紹介するのは、ソ連軍の代表的な迷彩装備である「KLMK」です。

KLMKは、古くは1950年代末には初期のタイプが存在したようです。

その後、ソ連崩壊の1990年初めまで主力として使われていたのですから、随分息の長い装備だったんですね。

その昔、ミリタリー雑誌でソ連軍知識をあさっていたころは、「KLMK迷彩」という、迷彩パターンの事だと思っていました。

本当のところは、迷彩パターンは日本語で「白樺迷彩」といったところで、KLMKとは「迷彩つなぎ」程度の意味らしいです。

また、かつてKLMK・2ピースタイプとか、茶系KLMK迷彩などと呼ばれていた物も、それぞれ名称が異なっているようです。










【図説・夏季迷彩服一覧】











※基本的に一昔前のミリタリー雑誌の知識に、ネット上で見知った新情報を上書きしているような状態なので、勘違いや間違いもあるかと思います(と言い訳しておく…)

1990年代に入って、アフガンカに代表されるBDU型の迷彩服が普及し始めてからは、羽織るタイプのKLMKはめっきり見かけなくなってしまいました。(それでも根絶したわけではないのがすごいですけど)

この迷彩パターンは「BEREZKA」(読みはベリョーズカ、もしくはベレスカ、ベリョーザetc.)と言う柄で、1960年代から使われはじめ、今でも現役で目にする機会が多いです。

それだけ完成度が高いという事ですね。












☆KLMKは1ピースのつなぎ型です


ツナギ状でゆったりとした作りなので、腰回りをベルトで締めないと、かなりだらしない格好に見えてしまいます。

腰付近にはベルトループがあるので、位置決めは容易で、ズレ防止にもなります。

KLMK装備に関しては、私は極力軽装備のほうが格好いいと思っています。

1980年代のソ連軍の訓練や演習の動画を見ると、装備ベルトにマガジンポーチと、銃剣のみ。あとはせいぜいガスマスクバッグ程度しか付けていない事が多いです。

BMP等の歩兵戦闘車での乗車移動が多く、日用品は携行する必要も無いのかもしれません。(実戦ではそうもいかないでしょうけど)












☆かなり薄手のコットン製


素材は、非常に薄っぺらいコットン生地で出来ており、軍隊で酷使したらすぐに破れてしまいそうです。

市場に流通しているKLMKの大半がデッドストックなのも、中古品が放出されるまでもなく着つぶされてしまうからかもしれませんね。

あくまで消耗品として、大量に生産され、大量に消費されたのでしょう。

この生地の薄さから、ソ連軍服には珍しく、夏季でも快適に運用できます。

勿論、夏に着る際にはアフガンカ同様、下着の上から直接羽織る形になります。












☆尻部分はボタンを外せば丸ごとめくれます


構造上、インナーの軍服のポケットに手が届くよう、各部が隙間だらけのため、風通しは抜群に良いです。(その分、身体保護能力はほぼ皆無ですけど)

また、迷彩パターンも、夏季の使用には最適で、装備品をベルトとマガジンポーチ程度にして、フードを被った状態で戦闘に望めば、日本の森林地帯でもかなりの迷彩効果を発揮します。

軽装備での演習風景は、前述の通り当時の映像で確認できますから、リアルでもありますね。














☆付属のフェイスマスク


尻ポケットを漁ると、フェイスマスクが付属しています。

ゴムバンドを耳に引っ掛けると、顔全体をカバーできます。














☆KLMK全身偽装状態


フードを被ってこれを付ければ、ほぼ全身を迷彩で覆い隠す事になります。

白色ゴム製のガスマスクといい、このフェイスマスクといい、ソ連軍装備は凶悪さの演出に余念がありませんなぁ…。












☆白兵戦用意!


一見した印象から、装着したら「通常の3倍赤い人」ぽくなるかなと思いましたが、そうでもないですね。
(むしろ「タキシードの人」に近いかも…w)














☆裏面は「夜間迷彩」です


KLMKの特徴として、リバーシブル仕様が挙げられます。

白樺迷彩の表面に対して、裏面は「夜間迷彩」と言われています。

実際に夜間に使った事が無いので効果の程は不明ですが、米軍が湾岸戦争に投入した「ナイトパターン」も似たような柄でしたから、相応の効果はあるのでしょう。

画像はありませんが、ご丁寧にフェイスマスクもリバーシブル仕様です。















☆アフガン派遣部隊風コーディネイト


着装イメージは、アフガニスタン紛争・初期~中期のソ連地上軍自動車化狙撃兵です。

空挺軍なら、AKS-74やAKS-74Uがベターなところですが、地上軍なので、木製ストックのAK-74を装備しています。

(なお画像のAK-74は、韓国トイスター製エアコッキングガンです)














☆インナーはM69型熱地服です


KLMKの中は熱地服を着用しています。

熱地服は、暑い地域の兵士に支給するためM69野戦服をベースに開襟・ストレートズボン仕様にしたもので、アフガン紛争では最も多用された軍服です。

アフガン紛争も中期頃には有名なアフガンカが普及しだしますが、熱地服も最後まで併用されました。












☆アフガン派遣部隊でよく見られる、チェストリグを装着した姿


チェストリグは、鹵獲した中国人民解放軍56式小銃弾帯のほか、それを模倣したローカルメイド品など種類・形状は数知れず。

アフガン紛争末期には、独自の改良を加えたソ連製も登場しています。

当時の戦場写真でも、類が多すぎて、「○○年式」といった規格分類に慣れ親しんだ私にとっては、着こなしを考える上での悩みの種です。












☆AK-74用マガジンポーチ装備


腰ベルトには、官給品のAK-74マガジンポーチを下げています。

アフガンでは総じて出来るだけ多くの弾薬を携行していたようで(無論、生存率を高める為)規定より多くのマガジンを様々な手段で持ち歩いていたようです。

当時の写真では、マガジンを2本テーピングしていたり、本来RPK-74軽機関銃用である45連ロングマガジンをAKS-74に装備していたり、現地の兵の創意工夫と、そうせざるを得ない戦場の様子が想像できます 「サツバツ!」

サバゲーの場合、1ゲームの弾数制限のあるチームも少なくないと思いますので、リアルカウントマガジンでも使わない限りは、複数のマガジンポーチなど邪魔なだけですが、コスプレ視点では外せない再現要素です。

いわゆる「だが、それがいい」と言うヤツですw












☆銃剣はアリイのプラモデルです


銃剣は、戦場写真を参考に、後腰に提げています。

服装規定では身体の前部左側、ベルトバックルとグレネードポーチの間に提げる決まりですが、その位置だとはっきり言って邪魔。

実戦では無視して邪魔にならない所、後ろ腰であったり、ボディアーマーやチェストリグのポーチの中に突っ込んでいたようです。

また、銃剣自体を携行しない兵も少なくなかったようです。

※画像では、不覚にも忘れていましたが、水筒を提げておくとなおベターでしたね。
















☆1980年代当時の訓練映像より


本来、野戦服の上から羽織るように作られたKLMKですが、実戦では下着の上に直接着込んでいる姿も良く見かけます。

もっぱら、アフガニスタンの戦場ですが、現地の暑さに加えて、服装規定を無視しても多めに見られていたのが理由でしょう。

事実、モスクワやヨーロッパのソ連軍部隊(すなわち1980年代当時、西側に伝えられた宣伝映像の姿)では、規定どおり、かっちり着こなした姿しか印象にありませんでした。

その時代で知識の止まっていた私などは、映画「アフガン(第9中隊)」以来、目にする機会の増えたアフガン派遣部隊の実戦写真には随分衝撃を受けたものです。

このあたり、ベトナム戦争における米兵の着こなしの変遷を彷彿とさせて興味深いです。












☆「ロシア軍」よりも、往年の「ソ連」風味を味わいたい人にお薦め


着こなし次第でいくらでもアレンジがきくので、ソ連・ロシア軍装備の基本アイテムとして手に入れておくべき一品です。

ベトナム戦争物と同様、流通品は減少する一方でしょうから、今のうちに入手しましょう。

(私も、「昔はもっと安かったよな~」と思いつつ、慌てて購入したクチですw)




  

Posted by らんたろー at 09:14Comments(4)装備:ソビエト・ロシア軍

2013年05月12日

BOOKレビュー:パラレルワールド大戦争




☆「パラレルワールド大戦争」 (豊田有恒・著)


この本はSF作家・豊田有恒氏の小説です。

以前紹介した「タイムスリップ大戦争」同様、現代の軍事力で過去の日本を救うという内容のSF作品です。

この本も、とっくに絶版になっていて、Amazon経由での購入です。

内容は、現代の日本と過去の日本が、トンネルで繋がったという設定で、終戦間際の日本へ、現代自衛隊の兵器・兵員が続々と送り込まれ、連合国軍と戦うという展開です。

ハイテク兵器の数々で武装する自衛隊の協力で米軍を圧倒する展開になりそうなところですが、設定上トンネルを通過できる範囲の物しか送り込めない為、海上自衛隊の護衛艦やF15クラスの戦闘機は投入できないという足枷があり、当初は74式戦車や自走高射機関砲などを細々と送り込む程度だったりして、現代人の一人勝ち状態にならない演出が読んでいて面白いです。

自衛隊の投入で徐々に戦局が好転していく中、現代において「日本の様子が怪しい」と米国に事態を感ずかれはじめたり、一方でマスコミを巻き込んだ一大キャンペーンで現代日本人が軍事力強化への理解を示していく様子など、時空を超えての状況の変化が描かれていきます。

最終的に歴史が変わってしまうのかどうか、それは本書を実際に手にとって読んでいただきたいところ。

文章だけの小説でありながらも、出来の良いSF作品というのは、映画やマンガに匹敵するくらい、躍動的で面白いものですね。

  

Posted by らんたろー at 16:05Comments(0)雑文・雑記